2018年1月14日日曜日

『言の葉の庭』-風景の勁さとドラマの弱さ

 『君の名は』の一つ前の新海誠作品。
 木の葉と雨と風のおりなす庭園の風景は文句なくきれいだが、物語の弱さは否めない。
 それでもクライマックスの階段のシーンで感情が持っていかれたが、だがその後、結末までにはどうにも腑に落ちないモヤモヤが残る。これはどう落とすつもりなのだ? 15歳の高校生男子と27歳の高校教師の恋物語ということですんなり納得すればいいのか? その現実的困難が描かれるわけでもなく、その難しさを問題にしないところで描かれるお伽噺ですと明言されているわけでもなく、どのあたりに納得を落としこめばいいのかがわからなかった。
 いや、そんなの問答無用に「あり」だと受け取ればいいのかもしれない。そうするとますますドラマの弱さを感じないわけにはいかない。
 つまり設定の特殊さこそが強みになるような描き方ができているわけでなし、それを特殊視しないでドラマとして入り込むには弱くて、という。
 ではあの階段シーンは? なんとなく吊り橋効果に似た感情の動き方だったような気もする。階段の落差や踊り場の外に広がる空、駆け下りるスピードなどの空間的演出の効果。

p.s
 もう一度そのシーンだけ観たが、やはりドキドキとした感銘がある。細かくカットをわりながら、さまざまなものをアップで描く演出と、スピード感がやはり優れているんだろうとは思うが。

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