思い入れのある『Saw』シリーズだが、ネットの評判は芳しくない。期待はせずに観てみる。
残酷描写を期待しているわけではない。テレビシリーズの『ハンニバル』や新シリーズの『ひぐらしのなく頃に』はそこが愉しくもあったのだが、最初からそこに対する期待が高いと、よほどのことがないと驚かない
そもそも『Saw』シリーズにそれを期待してはいない。
旧シリーズ『Saw』の魅力の一つは、ジグソウの哲学が何やら神妙な感じがすることだった。長台詞で死生観を語るジグソウには、良い俳優だと感心することしきりだった。命をかけたゲームを通して、新たな死生観を体験者が手に入れるという、まあそれはそれで無茶な理屈か、ジグソウ俳優の演技で、もっともらしく感じられたのだった。
ところが、本作は残念ながらそこは無茶に過ぎなかった。そんなことでこんなゲームに巻き込まれ、結局あっさり死ぬのか、という残念展開だった。
それよりも、『Saw』シリーズを見続けたのは、毎度感心するようなお話作りのうまさゆえだった。SSSでありながら、外でのドラマが並行して描かれ、それが意外な形で関わってくるという展開の醍醐味。乙一の小説などで時々仕掛けられる、読者(観客)をあえて誤解させるトリック。
こちらの方は満足。
並行して描かれる二つの場面に時間差があるらしいことは次第にわかってくるのだが、それがあのような形で一致するときには、これぞ『Saw』シリーズ、と拍手を送りたくなる。
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