誰かが高評価しているというので。
後から調べてみるとフリードキン監督だったのだが、どういうわけか。
いや、面白かったのだが。ホラーというよりはサイコサスペンスだった。オカルト要素があるのかどうか怪しんでいると、大方はサイコな理屈で収まる。その意味では実に精神的な緊迫感は高い。
夫を事故で失い、息子はADHDで問題を起こしてばかりの主人公が、次第に追い詰められていく。クリーチャーは主人公自身の心のメタファーであろうとすぐわかる。
とにかく描写が丁寧で的確、実に辛い。生活の辛さから、息子がいなければと思ってしまう母親の気持ちがリアルに伝わる。
それを乗り越えられそうな、物語の最後の最後で、物理的にはオカルティックな現象が描写されるが、それもまあ心象描写の暗喩だと考えてもいい。そしてクリーチャーを滅ぼしておしまいかというと、地下室に「飼っておく」という結末は秀逸だった。
心の闇は完全に消し去ることなどできず、飼い慣らすしかないのだと。
0 件のコメント:
コメントを投稿