2023年10月15日日曜日

『VIVANT』-萎える

 豪華キャストに大規模海外ロケとかまびすしい宣伝に乗せられて見始めると、なるほど手がかかっている。これで脚本が安かったら見るに値しないが、そういうこともない。

 というより、日本のドラマとしてはほとんど類を見ないほどよく考えられている。こういう、構成の込み入った、コンゲーム仕立てのポリティカルアクションが見るに値すること自体が驚くべきことではある。ここが真相かという驚くべき展開が幾重にも裏切られていく。その末にヒューマンな決着に向かうポジティブさもいい。

 にもかかわらず、最後まで見るには少々うんざりしながら半ば義務感に押されてようやく、ということになったのは、どうにも大仰な演出についていけないからだ。あれだけの芸達者たちが集まって、熱演につぐ熱演を見せるのだが、これがどうにもアツクルシイ。

 いや『最高の教師』もまた結構あつくるしいドラマではあった。時折身が引けてしまうところがないとは言わないが、全体としては打たれてもいた。

 それが『VIVANT』では生じなかったのはどういうわけか。

 大体、謎のワードを題名にして、それが何なのかがわかったあともそのまま題名として使われていることに萎えてしまう。『別班』でいいではないか。謎を引きとして使うことが自己目的化している。そういうあざとさが、あつくるしいヒューマン風味とあいまって、ちょっとうんざりしてしまったのだった。

0 件のコメント:

コメントを投稿