イニャリトゥ監督は『バベル』『バードマン』についでやっと3作目。
画面の重厚感は強烈で、アメリカ大陸開拓時の自然に対する人間の足掻きは、すこぶる直裁的な肉体的脅威として観るものに迫ってくる。先住民との抗争も、平面移動が空間的な広がりを感じさせる撮影演出が見事だった。
だが、それほど面白い物語とも思えない。わかりやすい復讐譚であり、そこに爽快感のようなものがあるかといえば、それよりも喪失感の方が大きく、後味が良いとも言えない。一方で何か、アメリカという国の成り立ちにかかわる啓示があるというような感じもしなかった。アメリカ国民が見ると抱くような感慨が起こらないことは映画の罪ではなくこちらの問題なのかもしれないが。
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