先日、成人式のために帰省した娘と、3回半目くらいになる『おやじの背中』の「ウェディング・マッチ」を見直したんだが、やはり驚くべき作品なのだった。勿論演出の鶴橋康夫のカメラワークも、役所広司と満島ひかりの演技も驚くべきレベルだったから、総合的にみて奇跡的な作品になりえたのだが、そもそもはそれだけのものを喚び寄せるだけの脚本なのだろうと思っていた(ところで、調べてみると、平成26年度(第69回)文化庁芸術祭で、優秀賞を受賞しているのだった。『おやじの背中』のあの錚々たる脚本陣の中で、「ウェディング・マッチ」単独の参加、受賞だというのは審査関係者の炯眼に敬意を表したい。ついでにテレビドラマ部門の大賞は山田太一ドラマスペシャル「時は立ちどまらない」で、テレビドキュメンタリー部門の大賞は「君が僕の息子について教えてくれたこと」だ。どっちも観てる)。
で、脚本の坂元裕二の新作『問題のあるレストラン』が始まった。第一回からすでに驚くべき作品である。会社のセクハラ・パワハラの描写はさすがにちょっとやり過ぎ感は否めないが、そうした些細な瑕疵を問題にしないほどの力のある描写、細部まで作り込まれてなおかつスピード感のある会話、エピソードの印象深さ、今後の展開に期待させるワクワク感。この、物語としてのテンションが最後まで維持できるなら、思い出深い作品になることは間違いない。居間にいるときにわざと観始めて誘惑したところ、さすがに去り難い思いを生じたものか最後まで一緒に観ていた息子と、終わってすぐ「すごい」という感想で一致したのもそれを証している。
とりわけ、レシピに書かれた日記を主人公と友人が読むシーンは見事だった。デビュー時から比較される野島伸司は、私の中では「エセ文学」なのだが、それよりも坂元裕二の紡ぐ言葉の方が遙かに「文学」だと言っていい。
エセ文学 、、、笑える
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