『羊たち』に続いてアカデミー賞受賞作。
だがこちらはそういう評価に違和感はない。まあこんなに臆面もない「映画」讃歌に最高の賞を進呈してしまうところに、映画界の身内びいきを見るようで恥ずかしい気もするのだが。
それでも面白いことにはまったく異論はない。隅々までよくできていた。サスペンスは充分だし、成功のカタルシスは申し分ないし、台詞は粋だし、ペーソスも感じられる。主人公のベン・アフレックのかっこよさには惚れ惚れするし、登場人物たちがそれぞれの役割において輝く瞬間をきちんと描けているところもいい(アカデミー助演男優賞ノミネートのアラン・アーキン演ずる老映画プロデューサーの、気骨と矜恃と辣腕と少々の落魄はやはり味わい深かったが、個人的には台詞も「活躍」もほとんどない義勇の人、カナダ大使ケン・テイラー役のヴィクター・ガーバーの顔が実に良かった)。全体として、アイデアの密度が濃いという感触が、鑑賞後の満足感を与えてくれる。
大いに満足して、でも何か大きな感動がないことにもいささかの不満足を感ずる。
たぶんこれは個人的な問題だ。こちらの準備状況であり、相性の問題なのだ。
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