2018年7月22日日曜日

『THE BAY』-アカデミー監督による手堅いホラー

 ファウンド・フッテージ物のホラーやサスペンスの映画を調べていると、いくつかのサイトで名前が挙がっているので、観てみようと。
 アメリカの地方の港町で謎の住民の大量死亡事故があって、それを記録したビデオの断片が見つかって(ファウンド)…。
 原因が化学物質なのか、放射能なのか、ウィルスなのか微生物なのかと次々と可能性を示しておいて、結局ここに落とすのか! という意外性のある結末ではあるが、それはまあどれでも良かったのだろう。実際どれでもいい。
 映画全体の味わいは、ほとんどゾンビ映画である。
 些細な兆候からカタストロフまで、日常が徐々に壊れていく様子を、断片の荒っぽい編集で(フッテージ=未編集)で見せるが、編集していないというより、もちろん絶妙な編集というべきだ。いくつかの系列が並行して描かれながら、そこに祭に賑わう街の様子が断片的に挟まれる。この雑然とした編集がどうにも日常と非日常をシャッフルした感じで良い。こういうのがファウンド・フッテージ物・POV物の楽しさだ。
 設定だけして、そこで起こりそうな恐怖のシチュエーションを充分に並べて、それぞれを高いレベルで見せる。
 贅沢を言えばそこに起こる人間ドラマに何か深いものが欲しいと言えばいえるが、まあ贅沢だな。B級ホラーを観るつもりならば充分な拾い物。
 だというのに、これが『レインマン』のバリー・レビンソン監督だって! 同姓同名別人ではなく! どういうわけでアカデミー監督がこんな低予算のホラーなんぞ!
 でもまあそれゆえの手堅さではあるのだな。

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