2019年9月23日月曜日

『マッチポイント』-人間ドラマとして感情が動かない

 『ブルー・ジャスミン』以来のウディ・アレン映画。だが感触はまるで違う。『ブルー・ジャスミン』のようなほろ苦でユーモラスな要素はなく、シリアスでサスペンスフル。
 映画としては、プロローグのテニスのラリーの1球がネットに当たって真上にあがり「どちらに落ちるかは運」というナレーションとともにストップモーションになるところに目を奪われるのと、それが殺人の証拠を隠蔽する場面の指輪を川に投げ捨てるところに重なるところがうまくて唸る。手すりに当たった指輪はどちらに落ちるんだろうと思っていると手前に落ちるところから、これが殺人発覚につながるんだろうと思っているとそれが逆にはたらく結末がドンデン返し的意外性を感じさせるから、脚本的には巧みだということになるんだろう。
 だが不倫の相手を殺してしまう主人公に全く共感できなくて参った。なんなんだ、この支離滅裂な行動は。
 映画としてどうであれ、人間ドラマとして感情が動かない。

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