2021年2月15日月曜日

『Loop』-ちょっと難しい

  「ループ物」としてレコメンドされてくる作品から『残酷で異常』など、評価の低くないものをいくつかリストにいれておいて、ようやく。

 始まってみると何語で喋っているのかわからんなあと思っていたらハンガリー語なのだそうな。だがヨーロッパ映画らしい粗さはない。やや画面が暗いものの、タッチはハリウッドの小品といった感じではある。最近はドローン撮影で、安価に映画が高級そうに見えるものの、そもそもカメラの切り替えや編集などはすこぶる達者だ。


 「見直したくなる」という惹句の通り、ループの構造がどうなってるんだろうと思って二度観てみた。

 映画というのはカットの切り替えで、時間的には順につながっているという暗黙の約束があるのだが、映画が先に進むとさっきと同じ場面が描かれる。だからといって『運命じゃない人』のように、本当に時間的に前の場面が描かれているわけではなく、どこかから時間がループしているのだ。だがその展開は、少しずつ前と違ってくる。観客と同じ視点の主人公にはさっきの記憶がある。

 そのうち、主人公が二人になったりする。一方の主人公はさっきの自分だから先の展開を知らない。

 そうこうしているうちに主人公が殺されてしまう。どうなるのかと思うと、別の人物をカメラが追ううち、その人物が主人公とからむ場面に至るから、そこで物語に復帰する。

 このパターンは『トライアングル』だ。そして『トライアングル』のように暗喩的な描写もあって、読み込み甲斐があるのかもしれないとも思ったが、とりあえず二度観た感触としては、『トライアングル』ほどわかりやすくないわりに、主人公が家族の大切さを再認識するという決着のわかりやすさがどうも軽い。あまりに安易にベタベタしすぎだろ、最後。『エターナル・サンシャイン』も、ラストでそこに落ち着いたのに不満を感じたものだったが。

 ループがパズルのように解けるわけでもなく、混乱のままなのも、楽しめばいいのやらどうやら、モヤモヤ。

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