2021年2月21日日曜日

『ザ・クレイジーズ(リメイク版)』-完成度の高い「お話」

  確認のために観てみる。たぶん3回目だが、ブログを始めて以来は観ていないようだ。いくつかの印象的なシーン以外は、基本的には忘れていることばかりだった。

 思いのほか完成度が高かった。ロメロ作品と比較してしまうせいでもある。金もかかっているし、演技から演出から編集から、全てにおいてレベルが高い。

 だから十分面白いのだが、やはりロメロとは違うのだった。

 完成度が高いと、それはそれで余りに現実から隔絶された「お話」になってしまう。

 そしてもっぱら面白さは感染者や軍から逃げるサスペンスによることになる。つまり敵味方がはっきりと分かれてしまう。軍の作戦を内部から描くことがないから、主人公から見て、それはあまりに明確な敵でありすぎるし、感染者も、ほとんどゾンビとして襲ってくるばかり。

 そうしてみるとロメロ作品は「感染者」ではなく「感染」が怖いのだった。それぞれの人物に観客が感情移入して、それらの人物が感染によって少しずつおかしくなっていく違和感と哀切。

 なるほど、比較することによってそれぞれの魅力が明らかになる。

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