2022年6月28日火曜日

2022年第1クール(1-3)のアニメ

もう第2クールが終わろうとしているのだが、ようやく観終わって。


『鬼滅の刃 遊郭編』

 昨年の「無限列車編」に続いて。

 昨年から放送が続いて、4半期の、いわゆる「クール」の切れ目とズレた放送期間で終了した。

 アクションシーンは時々良くできているし、CGと手書きの絵柄の合成は手間がかかっていると思わせるが、全体としてはアニメーションの楽しさで観るものでもないと思う。

 そうなるとドラマだが、兄弟鬼のドラマは悪くないし、宇髄天元のキャラクターも悪くなかったが、煉󠄁獄杏寿郎の魅力で引っ張った「無限列車編」には及ばなかった。


『ルパン三世 PART6』

 昨年第4クールから年をまたいで2クール。アニメ化50周年記念というのだが、残念ながら動画も演出もレベルは低く、面白くない。一方で脚本に湊かなえや芦辺拓ら、著名な小説家を起用した回もあるのだが、それでも面白くならない。映像作品でも、脚本が重要なことは間違いないのだが、それだけでは良い作品が成立したりはしないのだ。

 わずかに押井守のオリジナル脚本の2回だけは、幻の押井『ルパン』を惜しむ感慨とともに、奇妙な味わいが一見の価値があった。


『その着せ替え人形は恋をする』

 clover worksは相変わらずの良い仕事をしている。『ホリミヤ』以来の可愛い青春模様が毎回楽しくて、録画したものを溜めずに見られた。


『電脳コイル』

 監督の磯光雄の新作公開にあわせて全話再放送されたので、15年振りに観た。

 当時もそう思ったのだろうが、作画レベルが高いまま26話ずっと維持されているのはすごい。デッサンだけでなく、カメラワークからカット割り、編集まで、映画的に優れた演出がされていて、見事なアニメーションだとあらためて驚く。

 かつ、登場人物たちがそれぞれに魅力的なキャラクターとして描き込まれているし、ユーモアのあるくすぐりはほとんどジブリ並みだ。

 その上に、今観ても新鮮なAR描写と、物語的に比較的独立して完結した回の味わいまで、あらゆる要素が驚嘆すべき作品なのだとあらためて思い知った。

 そうした要素だけでなく、本筋であるジュブナイルとしての高揚感がこれほど達成されているのも見事。


『殺し愛』

 過去が明らかになるエピソードがなかなか感動的だったのは、現在編の主人公のツンデレの裏にある痛みが迫ってくるからだが、肝心の現在編はまだまったく何も解決しておらず、これで1クール終わってしまって、今後続編があるのやら。それほど面白かったとも言えないので難しそうではある。


『錆喰いビスコ』

 作画は1クール最後まで崩れなかった。マンガ原作ではなくライトノベル原作を映像化した作品として意欲作ではある。

 が、面白くはなかった。面白さとして何を受け取ればいいのかわからなかった。

 世界設定としては戦争に使われた兵器「テツジン」によって錆まみれに世界で、キノコ守と呼ばれる主人公たちがはやすキノコは忌み嫌われていたが、実はそのキノコは錆を浄化するはたらきをしていたのだった…、といえばまるで『風の谷のナウシカ』ではないか。おまけに復活した「テツジン」は巨神兵なのだった。

 だが巨神兵があまりに圧倒的だったのに比べて、こちらの「テツジン」が同様に巨大なのにも関わらず、主人公たちは直接生身で闘ってしまう。そうするともう例の「スーパーマン映画の不可能性」なのだ。なんでもありになってしまって、緊迫感がない。


『平家物語』

 山田尚子と吉田玲子は『リズの青い鳥』などでも、手堅いが面白いとも言えないコンビではある。キャラクターデザイン原案に高野文子の名前を見つけて驚愕するが、それがアニメの面白さを保証するというものでもない。

 録りためてまとめて観ることになる。毎回が楽しいというわけではない。

 アニメーションとしては、作画も美術も、毎回質が高くて舌を巻く。だが、物語の進行が早すぎて、何が起こっているのかわからない。もともと「平家物語」に通じていて、各人物が元々どういうふうに描かれているかを知っていて、今状況がどうなっているかを把握して、ようやく楽しめるのかもしれないが、最後近くまで、高度なアニメに感嘆しつつも退屈で苦痛だった。

 だが最後の2回ほどで、ようやくじっくり描くことが構成上許される展開になって、『平家物語』の主題である現世のはかなさと、それを語り継ぐことで愛おしむというこの作品の主題がしみじみと感じられるようになって、1クールのアニメとして大団円。

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