2025年5月5日月曜日

『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』-わかりにくい

 スターリンの「5カ年計画」で起きたウクライナのホロドモールを題材にしているというので興味がわいて。

 映画は実に堂々たる大作だった。画面には格調高い映画の風格が満ちている。

 1932年の世界恐慌下のソ連の経済状況に疑問を抱いたジャーナリスト志望の主人公が、取材の過程で現ウクライナのホロドモールの実態を目撃する。ソ連の政治的腐敗を描くというよりは、外国の報道がそれを暴けないでいる現場感が的確に描写されている。それぞれの個人はそれぞれの現場で最適化して自分のやれることをやるために日々を生きて、大きな状況には関われない。主人公の取材は最後に新聞に掲載されるが、それがどのような影響をもたらしたとも描かれずに映画は終わる。

 命がけのホロドモール体験の過程では、ほとんど人が死に絶えた村で、幼い姉弟が何か食べている肉が、先に死んだ兄弟のものだとわかるくだりなど、ある意味でわかりやすい劇的な展開もあるものの、全体には、何を「面白さ」として意図しているのかがわかりにくい映画ではあった。

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