きっとさまざまな優れたドキュメンタリーを日々見逃しているんだろうが、時折、偶然の出会いで、この間の「マザーズ」や、前に書いた「敵はリングの外にいた」などの面白いドキュメンタリーに出くわすこともある。
『NONFIX』という番組は、1989年に始まったというから、ほぼ私が勤めだしてからと同じ四半世紀続いていることになる。始まった頃のことを覚えている。ネットに記録が見つからずに確認できず、名前を挙げることはできないが、いくつか印象的な作品を追いかけて観た。
だが普段マメにチェックしているわけでもないから、最近は滅多に観ることがない。いつ以来かわからないが、偶然見つけて興味を引かれて「“変わり者”と呼ばれて」を録画した。アスペルガー症候群を扱っているという。
アスペルガー症候群といえばむろん、自閉症を扱った「君が僕の息子について教えてくれたこと」を連想する。あの番組も実に興味深く、かつ感動的だったが、今回のこの番組も面白かった(「面白い」という表現に、またしても不謹慎かもという懸念がよぎる。内容がハッピーなものであればそう表現しても許されるのだろう。だが多くのドキュメンタリーはそれほどメデタシメデタシとはならない。それでも、この「面白さ」には対象を蔑視するようなものでは決してないことを確信し、あえて「面白い」と言いたい)。
『アスペルガー症候群』100人に1人といえば、2クラス半に1人くらいはそうだということになる。誰なんだろうとか、我が身やら家族やらを振り返って、その特徴を考えたりする。「見えない障害」なのだ。安直な判断はできない。
一説には日本人の100人に1人がこの脳の障害を抱えるともされる。
「ひとつのことに徹底的にこだわる固執性」
「場の空気が読めない」
「予想してないことが起こるとパニックになる」(フジテレビのHP)
ともかくもそういう状態があることを知ることが、ある現実に対する理解の助けるになることは確かだ。そういった「効用」もあるとはいえ、それよりもまずとにかく「アスペルガー症候群」という事象が興味深いのだった。本人が充分に明晰に内面を語ってくれるから、その不思議なありようがいくらかなりとうかがい知れる。過剰なまでに論理的で明晰な思考に、一部がぽっかりと盲点になってしまう。そんなことがわからないはずはないのに、とこちらには思われることが、本人にはわからない。不思議だ。「君が僕の…」の時ほどのワンダー感はなかったが、それでもしみじみと不思議だ。
そしてもちろん、良いドキュメンタリーは感動的なのだった。そこはエンターテインメントと同じ、「そういう風に作っている」ということは間違いないのではあるけれど、その感動が、やはり観ているに過ぎない私などを免罪してくれる気もするのだった。
30年以上の身近な知り合い、、家族感覚でお付き合いさせてもらっている人がつい最近アスペルガーである事をしった。振り返ればかなり失礼な応対をたくさんしてしまった。その人は職場でもかなり虐められたようだ。救いに思える事は本人が虐められている事で悔しさを感じていないだろう事。アスペルガーは驚くほど身近に存在する。自分の悔改めを考えます。
返信削除