2019年5月20日月曜日

『ラルジャン』-ついていけない

 ロベール・ブレッソンの遺作でカンヌ映画祭で監督賞というのだが、とにかくわからない。同年のカンヌ映画祭監督賞がタルコフスキーの『ノスタルジア』だというのだが、こちらが一向に古びたものと見えないのに、なんだが冒頭から大昔な感じがする。にもかかわらず映画は昭和末期、バブル経済までもうすぐの時期なのだ。なんだか時間感覚が混乱する。
 どうして役者にこんなに棒演技をさせてしかも画としても平板で、なおかつカットのつなぎもぎこちなく感じられる映画が何かすごいものと言われているのかちっともわからない。
 それでもいくつかの映画評に目を通してみるが、それらが衝撃を受けているポイントにちっとも共感できない。
 そしてなおかつ、そのように描こうとしているという意図がちっともわからない。そういえばこのわからなさは最近見たばかりの黒沢清だ。黒沢はもちろんブレッソンっぽさを意識しているのだろう。演技のつけ方にしろカットのつなぎかたにしろ。
 それでも、黒沢清のわからなさは多分意図的だから、わからなくてもいいのだろうと思わせもするのだが、ブレッソンの方はそう判断して良いのかもわからず、といって感情が動いたりもしない。
 くり返し見る必要があるのだろうか。

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