2021年4月10日土曜日

『何か』-低予算サスペンスの佳作

  大賛辞のストップモーションアニメを見ながら、実写の映画がしきりと観たくなっていて、その日のうちに、無名のサスペンス映画を、上映時間が短いという理由で観る。

 たぶん低予算映画なのだろうと思ったが、まさしく。夫婦の他に赤ん坊と、それ以外の人物はわずかに登場するくらいで、家の中だけで完結する、実に低予算な作り。

 が、悪くない。家の中に「何か」がいるような気がする、というホラーっぽいサスペンスをどこに落とすか、あれこれと観客の期待を宙づり(サスペンス)にして引っ張る。オカルトに落ち着くのか、妄想に落ち着くのか、犯罪なのか、わからない。どちらにもつながりそうに観客の解釈の可能性を残すバランスがうまい。

 結末はどれでもない、まことに腑に落ちる真相が明かされるのだが、後でちょっとだけ見直すと、ちゃんと会話中に伏線も張られているのだった。

 そして、幻想だか実在だかわからないクリーチャーとして登場する「ペスト医師」も、ちゃんと必然性があって選ばれていることがわかって納得したり。

 これが一体『KUBO』の何百分の一の制作費でできていることか。


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