2021年4月4日日曜日

『台風のノルダ』-視点の低さ

  前のこの映画の主題曲をライブでやったことがあって、その時にこういう映画があることを知った。映像の雰囲気は悪くないが。

 そして、テレビ放送でとうとう。はたして。


 全体にはやはりジブリの影響がありありと見て取れる。ジブリで仕事をしていた監督だというからそれはまあそうなんだろう。作画のレベルは全体に高い。単に「よく出来たアニメ」を観たいだけなら、かなり満足できるかもしれない。

 そして、文化祭前日に台風で学校に閉じ込められるというシチュエーションは確かに魅力的ではある。台風の雲はダイナミックによく描けている。

 が、文化祭前日のワクワク感が今一つではある。これと台風の不穏さが生む生徒たちの不安とコントラストを描くと良かったのに。それだけで一編の作品としては成功といえたかもしれない。

 だが結局、描かれる人間ドラマは浅く、そこにまるでわけのわからない人類滅亡(だか何だかもわからない「人類再構築」)がからむトンデモSF展開になるのは残念だった。

 超常現象が絡むのはいい。説明もなく、わけのわからない現象が起こってもいい。

 だが「人類再構築」はない。そこに異星人だがなんだかの美少女が出てきて、中学生男子がそれを救うという展開はどうみても「セカイ系」だろ。

 そう揶揄されることがわからない作り手たちの視点の低さが無惨だった。

0 件のコメント:

コメントを投稿