2021年4月24日土曜日

『ロープ』-もちろんよくできているが

 全編ワンカットで、劇中時間と映画の上映時間がシンクロするというしかけで有名な、やや短めのヒッチコック映画。これも一種のSSSか。ワンカットとはいえ、フィルムの長さに制限があるから、実際は時々、画面の切り替えでつないでいるものの、こんな仕掛けが可能なのは舞台劇が元になっているんだろうと後で調べてみるとやはり。

 基本はとても上手く、とても面白い。犯罪発覚のスリルにドキドキさせられる演出はまさにサスペンスだ。

 ただ、殺人の場面から始まる物語としては、どうしても「刑事コロンボ」シリーズを基本的な枠組みとして観てしまうせいで、もっと論理的な謎解きを期待してしまったのと、「自らの優秀さを証明するための殺人」というテーマについていけなかった。それも、「コロンボ」的な殺人のためのご都合主義的動機だというのなら看過しても良いのだが、最後でそこに根本的な疑義をつきつけてくるのは予想外だった。

 そういう動機を糾弾するにしても「コロンボ」のように、クールに見せるなら謎解きとドンデン返しの面白さを求めるからいいのだが、主演のジェームス・スチュアートが、真相の究明とともに、真面目な議論で犯人を糾弾するに至って、そういう映画だったのか、と肩すかしをくらったのだった。

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