2022年9月20日火曜日

『泣きたい私は猫をかぶる』-アニメ的にうまいだけの

 こういうアニメがあったなと思いつつも、何だっけと思いながら観た。終わってから調べると、なるほどCMでは観ながらコロナで公開が見送られたのか。スタジオコロリドだが『ペンギン・ハイウェイ』の石田監督ではない。とはいえ絵柄は『ペンギン・ハイウェイ』とまるで同じなのはジブリと同じく、スタジオが絵柄を決定しているのだ。それはそれでアニメスタジオの戦略かもしれない。

 で、本作はというとアニメーションの質の高さに対してまるで面白くない。この浅さイタさは…と思っていたら岡田麿里なのだった。そういえば題名が例によって五七の韻律になっているではないか。

 始まって画面が暗いうちにナレーションが被って言うことには、あなたの力になりたい、あなたに好きと言われたい、だ(不正確だが大体そういう内容)。これをイタいというほかどう受け止めればいいか。

 主人公の言動が不自然すぎて、というのはネットの感想の通りだが、途中で中身が入れ替わる展開があるのに、別の人格が入っても言動が変わらない。イタくて変な言動を描くことが自己目的化していて、中身が別の人格になっているという展開が意味をなさない。

 大体がそういう調子だ。脚本はまあいつもの岡田話だというのに、演出がそれをどうともしていない。アニメ的な「ちょっとうまい」描写をすることに終始している。拒否されていた相手の心を振り向かせ、最後は両思い、という「お約束」がまるで説得力をもたない。

 これもまた「アニメ的にうまい」だけのアニメ。

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