2022年9月24日土曜日

『8番目の男』-真面目に見られない裁判劇

 予告を見ると韓国版の『12人の怒れる男』か、あるいはコメディタッチなところをみると『12人の優しい日本人』かと思い、どちらかを期待して見てみた。

 結局はどちらともつかぬ中途半端な出来でがっかり。

 韓国映画らしい中途半端で不必要なコメディタッチと過剰な激情型演技に鼻白む。登場人物たちの判断がいちいち不自然でいかにも作り物じみているのと、それなりに達者な役者陣の演技や演出に落差があって、毎度韓国映画を観るときに感じる居心地の悪さをここでも感じる。感情の微妙な機微を感じ取ろうとしても、滑稽に描かれてしまうか大げさな怒りや悲しみが唐突に描かれてしまい、自然で合理的な感情の動きが阻害される。

 裁判の最中の不規則発言が、時折は阻止されるものの、それよりも映画的に盛り上がると判断されればいくらでも放置されてしまうとか、判事が判決を述べる直前に判断を変えるとか、到底真面目には見られない。裁判映画を真面目に観ようというという以外にどう見よというのか。

 事件の真相が明かされるくだりも、主人公たちに推測ができたとたんに再現フィルムとして真相が語られる。そんなふうに真相に至れるなら警察でも裁判所でも、そこに至れないはずはないのに。

 それでいて司法の人権保護を謳っているかのようなとってつけたような教訓にも鼻白む。

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