2022年11月27日日曜日

『孤独なふりした世界で』-孤独な終末

 終末物が続く。人類が死に絶えた世界で、一人死者を弔って清掃と、自分の仕事である図書館の書架の整理を続ける男。そもそもが孤独な男だという設定が終末世界では一層際立つのだが、一方で男にとっては人々といる間の方が孤独だったという皮肉も語られる。

 途中からその世界に闖入する女の子が妙にエル・ファニングに似ているなと思ったら、ほんとにそうなのだった。小規模プロダクションの製作のB級映画かと思ったら。そのうちにシャルロット・ゲインズブールまで。

 とはいえ『アイ・アム・レジェンド』などとは比ぶべくもないスケールではある。淡々と描かれる終末。

 完全な終末かと思いきやそうでもなく、そこに残った文明がまた不快な歪みを持っているという展開は現代社会のメタファーでもあるのだろうが、それよりも、そうした真実がわかる意外な結末にいたる瞬間は、ちゃんと感情を揺さぶるように描かれている。だが、これはまたどういう感情なのかがわかりにくいのだった。

 主張という形で言えば、終末をちゃんと終末として受け止めるべきだというような言い方になるような結末なんだが、そんなふうにいうまでもなくなんとも味わい深い映画ではあるのだった。

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