ドゥニ・ヴィルヌーヴのハリウッド・デビュー作。だというのにヒュー・ジャックマンとジェイク・ギレンホールが主演というから随分信用されたものだ。確かに手堅い演出でぐいぐい見せる。
幼い娘を誘拐された父親の焦燥は痛いほどわかる。一縷の望みをかけて、容疑者を私的に拷問するのがひどいとネットで叩かれているが、それをしないで後悔するよりは心を鬼にして、という選択はありうる。ただまあ、ああいうアメリカ人の父親の「必ず」「絶対」の類いの根拠のなさには毎度鼻白む。
事件の真相に向けて、はみ出し刑事が迫っていく過程はひきこまれるが、最後まで見ると、ただ惑わせているだけといういささか余計な伏線もあり、そのわりに真相がどうもピンとこない。まあそこに宗教に絡んだ心理があるせいか。
それから、他の映画でも時折そうした描写が気になるのだが、素人が銃を突きつけて他人を脅すとき、距離が近すぎる、という演出にリアリティの水準が下がる。致命的な展開になるくらいなら、充分素早い動きで銃を払うなどするのに賭ける方がいいに決まっている。犯人はそれを防ぐことができるようなプロではないのだから。
というわけで、面白く見つつ、どうも最後あたりで微妙にがっかりもした。
0 件のコメント:
コメントを投稿