2018年9月16日日曜日

『10クローバーフィールド・レーン』-「精神的兄弟」ねえ…

 実は先にネット情報で『クローバーフィールド』とは関係がないといってもいいほど、「続編」としては扱いかねる代物だということは知っていた。だが、プロデューサーはJ・J・エイブラムスだし、「精神的兄弟」だかなんだか、とにかく、観ておこうという半ば義務感のようなものである。
 始まると、なるほど、POVではない。だが、いきなりの監禁はSSSではないか。それはそれでもうひとつの好物だ。それで面白いのならそれも良し。
 さて、よくできてはいる。監禁される主人公が愚かで弱くないのは必須条件として、監禁しているジョン・グッドマン演ずるアメリカン親父ハワードは、常識があるのかないのか、本当のことを言っているのか嘘なのか、微妙なバランスをよく描いている。怖い。引っ張られる。
 だが惜しい。3人の限定された閉鎖空間での生活が楽し気に描かれるのに、その一人エメットの死に様に情緒がないのも残念だが、そこから外へ出てのシークエンスに、もう一度ハワードをからめるのはお約束だろ。いつ登場するかと期待してのに、そのまま表れないのは残念。
 同時に、外が本当にエイリアンによって侵略されていて、やっぱり監禁親父の妄想かもという観客の読みがあっさり覆って、意外にもほんとうだったというオチはもちろんかまわないが、肝心の、今しも人類を滅ぼすかもというエイリアンの宇宙船が、蒸留酒の瓶で作った即席火炎瓶で落ちるって、それはいくらなんでも無茶だ。
 だから車が地上に落ちて、主人公が気を失って目が覚める展開で、これは最初の自動車事故から目覚めるところにつながるんだなと予想したら、意外にもそのまんま、宇宙船が落ちる場面に続くので愕然とした。エイリアンが本当に地球を侵略したとか、ましてその宇宙船が酒瓶の火炎瓶で墜落したとか、この馬鹿馬鹿しさは夢オチであることの前振りに違いないと思ったのだが。
 この意外性は予想を裏切られることの喜びよりも、単に稚拙な工夫のなさに感じられて、がっかりだったのだ。

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