2020年7月19日日曜日

『海底47m』-シンプル

 海中に吊したケージの中でサメを見るというシーンは、いくつかのサメ映画で見たことがあるが、サメ映画の本義としては、ケージを破壊するほどのサメのでかさと獰猛さを描くところだが、この映画ではそれも、なくはないが、それだけでは保たないので、その描写は、あるにはあるが、頻発はしない。
 それよりもケージを吊していたウインチが壊れて海底までケージが落ちてしまう、という現実的な恐怖を描く。題名もそのままでシンプル。
 
 こんなシンプルなアイデアだけで一本の映画になるのかいなと心配していると、最後辺りのドンデン返しに工夫はあるとはいえ、全体には素直な作りだった。
 しかし、海底の絶望的な恐怖は実にリアルで、それだけでも作品として成功している。
 ケージを出る必要はあるが、ケージを出たときの寄る辺無さ。
 そして海底が崖状に落ち込んで、下が暗くて見えないところを泳いで進む恐怖。
 サメ映画ではない。暗い海中に対する恐怖は実に共感できる。サメ映画ではない。
 これを表現できているだけで成功である。

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