2020年7月25日土曜日

『怪物はささやく』-高いレベルの画作り

 新作が公開されるというので『ジュラシック・パーク/ワールド』シリーズの第5作がテレビ初放送だというのだが、その監督の前作というので、これは『ゴジラ』のギャレス・エドワーズにとっての『モンスターズ』か、と観てみる。
 が、調べてみると『モンスターズ』のような低予算映画とはいえない、堂々たるメジャー映画なのだった。シガニー・ウィーバーやリーアム・ニーソンが出ている。

 始まってみると、またこれが堂々たる画作りで、安っぽくない(『モンスターズ』も、低予算の中で安っぽく見えない巧妙な画作りはしていたが)。CGの「モンスター」が作り物っぽいのは限界なんだろうが、途中に挟まれるアニメーション・パートのレベルはものすごく高かった。いちいちの画面が、それだけで一枚画として見られる芸術的な画の連続で、しかも視点の移動や物の変形など、アニメとして工夫すべき点がおそろしく高いレベルで成立していた。本当に、驚くくらい。
 そしてアニメ・パートで語られる挿話がいちいち印象的なのも、とてもよい。

 全体として、良い映画ではある。主役の少年ルイス・マクドゥーガルも、哀しげな困ったような顔が実に良かった。
 お話としても、切ない物語を感動的に描いている、とは言える。
 だが、仕掛けとしては単純で「これだけ?」と思ってしまったのは、画作りの豪華さに対して、お話が単純に感じたせいか?

 それにしても一つ前に観たのが、カメラワークが単調な長回しの映画であることが特徴の『翔んだカップル』で、それに比べていちいちのカメラワークや編集に凝った本作は、あまりに「映画」として異質な物に感じた。
 そして、それだけに作り物じみて感じられる本作に比べて、『翔んだカップル』の生々しい手触りがいっそう強く感じられるのだった。

0 件のコメント:

コメントを投稿