評価の高いらしいフランス産アニメがEテレで放送されていて、特に予備知識もなく観る。なるほど、画はきれいだし、演出も上手いのが始まってすぐわかる。顔の前に垂れ下がった前髪を耳に掛ける仕草とか、祖父の書斎に入って、とおりすがりに触れて回る地球儀など、描写のリアリティが繊細に考えられている。
物語としても、19世紀のロシア、サンクトペテルブルクの貴族の少女が、祖父の無念を晴らすために北極点を目指すという設定に、ディズニーやらジブリやらの典型的な冒険譚の感触がある。北極圏の航海や、船が流氷により座礁してからのギリギリの旅など、物語的な屈曲も豊富で、良質の物語だ。
そして日本の我々には、貴族の娘が旅の始めに騙されておいてけぼりになったまま食堂で働くことになる1ヶ月間に、みるみる逞しくなっていく描写に、『千と千尋の神隠し』やら『天空の城ラピュタ』やらのヒロインを重ねて見てしまう。
ジュブナイルとして良質のアニメ映画。
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