2022年1月29日土曜日

『サランドラ』-父権的家族

 ウェス・クレイブンの2作目だというのだが、見るからに低予算映画だった。もちろん低予算であることは映画がつまらなくなることを決定しない。高級感はないものの、カメラワークとか編集とか、それなりに悪くない。といって結局は見るべきものもなく、単につまらない映画だった。どうしたわけか。面白さというのはそれを生み出すことが簡単ではないということなのだろうな、やっぱり。


 荒野に住んで人を襲って食べてしまう奇形の一家と、それに襲われる旅行中の一家の攻防戦なのだが、両方の一家が、やたらと父権的な家庭像として描かれているのがアメリカ的で不思議な感じだった。

 アメリカの映画やドラマを見ると、ハイティーンの子供が出てきても、必ず親の方が大きくなるようにキャスティングをしているように思われるのだが、実際にはローティーンのうちに子供は親の身長に並ぶものであり、日本ではキャスティングの際にそうした身長差に頓着しているように思えない。

 これが忠実に守られて、登場人物の心性としても両家ともにそれを体現しているのが不思議だった。

 と言ってそれに対する何か批評的な映画だというわけではないのだが(批判的といえば、奇形の一家の設定にはアメリカの核実験に対する批判的な要素があるようだが、それが何か批評的な面白みになっているわけでもない)。

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