ダニー・ボイルの出世作をようやく。
映像センスが並みでないのは冒頭からいたいほどわかる。だがヘロイン中毒のなんとも荒んだ若者たちの生態をひたすら描くこの物語をどう受け取ればいいのかしばらく戸惑う。もちろん意図的ではあるが、かなり不快ではある。不潔だし、自堕落だというだけでなく、単に犯罪を繰り返すのはきわめて迷惑だ。クライム・サスペンスとして描かれているわけではないから、現実レベルで感情移入して彼らの周囲の者、近親者あるいは被害者に同情してしまう。彼らの一人の赤ん坊が死ぬエピソードでは、赤ん坊の死体をリアルに作ってじっくり映す思い切った演出にドキドキした。ここははっきり映さずにそれを見る人たちの嘆きでそれと知らせる演出をしそうなものだが。単に「無軌道な青春」という美辞麗句ではすまされない荒廃であることには充分自覚的だと観客に知らせる。
どうなるんだろうと素直に気になる。どう決着させるつもりなんだろう。因果応報的な納得をさせるつもりはあるんだろうか?
前半部は特に中心的なストーリーをもたずに「生態」を描いていたのが、終盤でまとまった犯罪計画を追う展開になって、ストーリー的な推進力も増して、ますます気になる。どう決着させる?
結局は、ある意味では「量刑」に応じた決着にも感ずるような終わり方だが、むろんハッピーエンドというわけにはいかない。そんなことが許されるわけではない。
だが一方で、最後の最後になって、こうしたどうしようもなく退廃的な生活の対極にある「普通の」生活に対する疑問が生ずるようにしかける。なるほど、ではこれも「青春」の一つのあり方なのか?
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