2014年9月10日水曜日

『誰も守ってくれない』「進撃の巨人」

 平日で、宵のうちから眠くて、「進撃の巨人」の14巻に思う存分感動したあとだというのに、録画されていた『誰も守ってくれない』を見てしまった。5年前の公開の時に話題だったから、脚本か監督かが別の作品で知ってる人なんだろうと思ったら『踊る大走査線』の君塚良一だった。見終わってから知ったのは失敗だった。
 重大な犯罪を犯した者の家族に対する世間の非難は妥当なものか? テーマとしては決着が難しい、興味深い題材を取り上げている。展開も演出も安っぽくはない、だが密度が薄い、と思ってみてるうち、ラスト近く、多分最も感動的であるべき主人公の台詞があまりに安っぽくて、ここまで見せといて(こっちが勝手に見ているのだが)、最後でこれかよ! と怒ってしまった。犯罪者の家族はどこまでその罪を共有しなければならないのか? 本気で考える気が脚本家か監督にあれば、どう転んでも面白くなりそうなテーマ設定なのに(どちらも君塚良一だが)。
 確かに難しい。説得力のある見解を提示するのはどうしたって難しいことは理解できるが、それにしたって、あの大仰で感動的だろ? と言わんばかりの作り物の台詞は何事だ。
 それにしてもどこにもここにも佐藤浩市。日本の役者には佐藤浩市と役所広司と香川照之しかいないのか。三人とも、いつ見ても見事な演技をする人たちだから、まあそれで不満があるわけではないが。いったい、佐藤浩市と役所広司と香川照之は、それぞれ何人ずついるんだ?

 それにしても「進撃の巨人」は、10巻くらいで一度ピークがあったが、またそのピークに再び到達している。しかも10巻のはとにかく衝撃的なネタで勝負、というピークだったが、この14巻のは、丁寧に練り込まれた設定と圧倒的なストーリーテリング、名台詞に酔い、絵のスピード感に昂揚する、という、まことに真っ当な力業によって押し上げられたピークだ。脱帽。

1 件のコメント:

  1. 最近の進撃の巨人について感想を聞きたいです!

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