コロナ禍で公開された本作を劇場に観に行くことはなかったが、ヨーロッパ企画で上田誠ときたら「サマータイムマシンブルース」だ。いつかは観ることは約束されていたといっていい。
さて、始まってみると、終始楽しくてニヤニヤしながら観てしまう。タイムマシン・モニターによるドロステ効果というワンアイデアをどう転がしていくのか、興味津々だし、わちゃわちゃした空気感も、それなりに盛り上がっていく物語も、伏線の回収も、キャラクターのほのぼの感も。
そして、ワンカットのPOV「に見える」作りのあまりの見事さにも終始圧倒される。お芝居の進行に伴って、どこからカメラがそれを撮るかはものすごい手間のかかった計画であることは想像に難くない。同じPOVの『ウトヤ島7月22日』のカメラが、ただ主人公たちに着いていくだけで、それほど難しくはないように見えるのに比べて、その工夫は圧倒的だ。
恐ろしい低予算であることは観てわかるが、これで本広克行が余計なことをしている映画の『サマータイムマシンブルース』に比べてもはるかに面白し、かつ舞台版の「サマータイムマシンブルース」に比べても、おふざけの度合いが上品な範囲に収まっていてバランス的には本作の方が好もしい。
最高だ。
ところでエンドロールで、音楽担当に滝本晃司の名前を見つけて嬉しいびっくり。もう一度見直すときには音楽にも注意して観よう。
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