神格化されている本作だが、30年以上前に観た記憶では、それほどすごいとは思わなかった気がする。
で、観直してみると、なるほどすごい作画、すごいアニメーションではある。だが、お話はそれほど新鮮味がなく。
それは既に原作の前作「童夢」からそうだった。評判の高さに比して、読んでみると、要するに超能力戦じゃん、だった。
だから大友克洋の凄さは細部の想像力の緻密さにある。そこに、何かSF的な、つまり哲学的な深みを求めてもしょうがないんじゃないか、というのが前回の感想であり、4半世紀以上経って、今回もやっぱりそうなのだった。
サイコキネシスによって壁が凹面状にひび割れる、「童夢」でも有名になった描写とか、レーザー兵器によって無くなった腕を無機物を撚り合わせて作るとか、玉座に座るとその腕が玉座の肘掛けに融合してしまうとか、腕を構成する電線様のものを玉座から引き剥がしながら立ち上がるさまとか。
SF設定自体もだ。未来都市とか、AKIRAのような存在がいたらどうなるかというシミュレーションが緻密なことに感動しこそすれ、お話がどうだということもないし、感動的な話だというのでもない。
この神格化との落差は『ブレードランナー』ととても似ている。岡田斗司夫が、口を極めて絶賛しながら、話は大したことないんだけど、と言うのを聞いて、やっぱりそう思っていいのかと納得したことがあるのだが、本作もそうなのだ。
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