2021年12月4日土曜日

『LIFE』-サスペンスと強い感情

 採取してきた火星の土の中に発見された生命体(LIFE)が、宇宙ステーション内の隊員を殺して回る。完全に『エイリアン』だ。『遊星からの物体X』でもある。基本的にエイリアンをCGで描くところがそれらの名作とは違うところだが、それはプラスでもマイナスでもない。実物模型の陰影がないとも言えるが、その分、自由度も増している。

 密閉空間で、襲ってくる生命体とどう対決するか。趣向はそこにつきる。強靱な生命体を退治することは容易ではない。工夫を凝らし、勇気を持って、素早く判断し、我慢強く闘う。時として地球に対する義務と仲間に対する思いがぶつかって、決断を迫られたりする。

 ギリギリの危機が何度も襲ってくるサスペンスと、一人一人の隊員の死に対する強い感情が十分に描かれる、レベルの高いエンタテインメント作品だった。

 真田広之が、ジェイク・ギレンホールらハリウッドスターと同じ重みのクルーの一人だったのは嬉しかった。

 バッドエンドに落とす意外性は、それもエンタテインメント要素でもあるが、カタルシスと引き換えにして果たして収支はプラスかマイナスか。


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