2021年12月19日日曜日

『ファウンド』-よくわからない

 なんだかよくわからない映画だった。

 やけにアップばかりのカットも異様だったのだが、兄の部屋のクローゼットには、ボストンバッグに入った生首があって、それがしばしば入れ替わるという冒頭も突飛だ。連続殺人鬼というだけでなくなぜ生首を部屋に持ち込むのかわからない。主人公がわからないというだけでなく観客にもわからない(そして最後までわからない!)。だからもちろん妄想オチなんだろうと思っていると、最後までそういう種明かしもない。どうやら映画内現実なのだ。

 あれこれ不愉快な現実が描かれ、それに鬱屈した日々を送る主人公始め、各登場人物たちは皆、不快だ。基本的にはひどい方向にしか事態が動いていかない(かろうじて、主人公が子供同士の嫌がらせに対して暴力で対抗したのはカタルシスを感じても良さそうな展開ではあったが)。

 さらに、部分的にいきなりな感じしかしない、なのにしつこいスプラッタシーンがグロテスクで、別にそれを求めているわけではないし、怖いわけでもない。主人公たちが見るビデオのシーンなのだ。

 怖くはなく、気持ち悪いだけ。

 結末の悲惨さも、復讐に見合ったほどの理不尽な仕打ちがされているようには見えないから、いわば過剰復讐のようにしか見えないのだが、そこに何だか意味ありげな読み込みをしている人がネットで多いのは、よくわからないタッチに惑わされているんではなかろうか。

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