『FIN』と『ラスト・ワールド』の流れでDistopia物、あるいは終末物を観たくなった。ゾンビ物は基本、それなのだがここはゾンビをはずして、それ以外の終末物をと、一度観たことがある『LAST7』を見直す。
ロンドンの街から人々が消失して、主人公ら7人だけが人影のない街をさまよう、という大好物の設定(そういえば前エントリで熱く語った『遠すぎた飛行機雲』も、設定こそ戦時下だが、作品世界の空気はほとんどこうしたDistopia物のそれだ。むろんあの作品のテーマがそれだけでないことは論じたとおりだ)。
だが、これまたネットではとびっきりの悪評なのだ。
わかった、認める。確かに大した工夫もない。結末のカタルシスもない。オチの説明は『FIN』ほどの突き放し方はしていないものの、納得できるとはいいかねる。その点は、脚本の段階で物語が練り込まれて、結末に深い納得が得られる『ラスト・ワールド』などとは比べものにならない。
それでも、それほどの不満はなかった。まず人気のない街中を少人数で歩くというシチュエーションを、とりわけ才気溢れるとはいえないまでも決してチャチには見えない映像で見せていたし、個々の場面の登場人物の言動や展開に、作り手の頭の悪さにいらいらさせられるような不自然さも感じなかった。確かに無駄にフラッシュバックの回数が多いとか、無駄にグロいとかいう不満はある。物語の広がりもない。
だがまあ、これは人類消失もののSFではないのだ。そう誤解させるパッケージは罪だがそうでないことを知った上でこういう世界を楽しむには悪い出来ではない。確かに『FIN』のように、違和感の強い世界観を意図して構築しているのが感じられるような魅力もないのだが。
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