2015年8月22日土曜日

『コンスタンティン』(監督:フランシス・ローレンス)

 キアヌ・リーブス主演のエクソシスト物…などというより、神と悪魔の対立の図式の中で両義的な存在、いわゆるトリックスターたる「コンスタンティン」というダーク・ヒーローの活躍するアクションムービー。
 テレビ欄には「ホラー・サスペンス」って書いてあったんだけどな。
 キアヌが『マトリックス』シリーズの後に、シリーズ化を目論んだ作品だとか、『ハリー・ポッター』シリーズのスタッフだとか、ハードルの上がる惹句を先に聞いてしまうから、こんなもんかと思ってしまう。アメリカ映画の辛いところ。
 ビルのフロアにうようよと集まった半悪魔連中に聖水を浴びせるのに、ビルの貯水槽に聖水を混ぜて、スプリンクラーを作動させるとか、白スーツのサタンやパンタロンのガブリエルのキャラクターとか、面白いアイデアはあるんだが、いかんせん、脚本が浅い。
 フランシス・ローレンスは『アイ・アム・レジェンド』の監督なのか。愛しのディストピア映画として、もちろんゾンビ映画としても忘れることのできない一本ではある。もちろんあの結末にはまったくがっかりだったのだが、前半の、人気のなくなった廃墟のニューヨークの街並は実に良かった。「ダーク・シーカー」の設定も、単なるゾンビや、より設定の近い「28日後」のウィルス感染者に比べて、面白くなりそうな設定ではあるのだが、それをぶちこわす結末に失望した。
 ところが、調べてみると、この映画はもともと別の展開で終わるよう作られていて、そちらならば充分納得できる結末であるように思われる。それで観ていれば評価も今より高い一作になっていたかもしれない。惜しいことだ。モニターテストに参加した見る目のない観客のせいで。尤もその後は『ハンガー・ゲーム』なども録っているそうだから、ヒットには恵まれた大監督ではあるのだが。

0 件のコメント:

コメントを投稿