2020年9月13日日曜日

『ハッピー・デス・デイ 2U』-おそるべき構成力

  続編を名乗っていても全く別の作品であるようなのもあるし、続いてはいてもスタッフが変わっていたり、無残にレベルが落ちたり、といろいろある『2』の中でも、これは前作の翌日から始まり、なおかつ前作当日にループで戻るという完全な続編であるばかりか、前作の枠組み自体を再構築する、おそるべき脚本の構成力で、脱帽した。この感じは『SAW』シリーズ以来だ。

 もっともこれは2本セットで脚本が書かれているのかもしれない。『1』の中で一瞬の停電が描かれるのに特別な説明がなかったような気がするのだが、それが『2』の重要な出来事にかかわっているからだ。

 そうだとしても、『1』だけで完璧な完成度、完結度を達成しつつの、さらに2本で全体の見える物語構造というのはやはりおそるべきことだ。


 前作を観てこその楽しみももちろんある。ヒロインの成長もそうだし、サブキャラの活躍もある。

 とりわけループの中でパラレルワールド化した中で、ある感動的な、別の可能性が示される瞬間は見事だった。これも、『1』の脚本の時点で既に予定されていたことだと考えるのが自然だが、『1』の後で考えたことだとすればすごい発想だ。もちろんセットで考えておいて、『1』の完結感と『2』での新展開を狙ったのだとしてもその構想力はおそるべきことだ。


 犯人の正体という、ミステリー要素についても、前作だけでも「意外な犯人」を提示していたというのに、パラレルワールドにおいては別の可能性において別の犯人を、しかも前作からの設定の枠内で用意するという、志の高いお話作りをする。

 その上で小ネタも効いた、見事な映画作りである。

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