2020年9月7日月曜日

『ハッピー・デス・デイ』-最高にエンターテインメントなホラー

  『スクリーム』的な殺人鬼ホラーにタイムループをからめた設定は面白そうだとは思っていたがここまで観るタイミングがなく、ようやく。


 結果としては大満足。最高度に練り込まれた起伏に富んだお話作りに唸った。

 殺されるたびに時間が巻き戻ると、さっきと同じ場面が繰り返される。あ、これはさっきと同じだ、と思う感覚はタイムループ物のお約束。これこれ。こういう展開はもちろん枚挙に暇ないが、やはり楽しい。

 殺される前に手を打とうとあれこれ苦闘するが、毎回違ったパターンで、やっぱり殺されてしまう。

 最初のうちゴージャスで美人だけれど嫌な女に見えていた主人公が、繰り返し殺されるうちどんどんおちぶれて、そのうちほとんど笑えるような情けない姿になる。ホラー映画だったはずなのに、コメディと化してくる。それとともに彼女が愛おしくさえなってくるのだった。

 そしてさらに繰り返しの中で自己認識と反省が進むことで好感度を増して、堂々たるヒロインになった彼女を、最後にはすっかり応援したくなっている。

 最初はオタク的に冴えない奴に見えた男の子も、いつの間にかかっこ良くなっている。


 それとともに、ホラーとしてはすっかり怖くはなくなっているが、サスペンスは継続して、犯人捜しと真相究明、その解決に向けては、実に曲折のある展開が続いて、最後の解決に至る高揚感は実にうまい。

 最高にエンターテインメントな映画だった。

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