2021年8月7日土曜日

『ヴェノム』-軽い

 こういうのは気楽だから録画してすぐ溜めずに観てしまえる。

 始まってすぐの宇宙船墜落現場の空撮がなかなかによくできていたりして、映画を観ている愉しみを感じられたりする。

 だが肝心のヴェノムのCGは、まだ実写部分と違和感なく動かせているかというとそんなことはなく、すごい技術進歩だなあと思っていた20年くらい前から変わらない。部分の細かさや質感は増したが、全身の動きが自然な生物らしく見えないと、力強さもスピード感も空々しくなってしまうのだ。

 だから冒頭の空撮にせよ、途中のカーチェイスにせよ、すごいのは実写部分だった。その後の敵数十人との戦闘や、ラストの敵異星人との戦いなどは、もうどうでもいいという感じだった。

 一方でこれは異星人に乗り移られるけど共生の方法を探るバディものでもある。となれば『寄生獣』だ。確かにデザイン的にも連想されるところが随分あるから、比べたくなるのも人情。

 で、比べてどうだというのも、真面目に語るにはばかばかしい。『寄生獣』のような真面目な考察がされているわけもない。ヴェノムの行動原理が浅くしか感じられない。生き延びようとして主人公に味方するのはわかるが、異星人としてはうだつが上がらないのが、地球で生きていく方がいいのだとラスボスを倒すことにしたのだという理由付けは無理矢理。ラスボスが異星人を「何百万」も連れてくるという計画も、まったく実現の方法が視聴者にわからない。それでどんな危機感を抱けば良いのか。

 あちこちの軽いやりとりがそこそこ楽しかったり、アクションが爽快だったりする部分もあったが、全体には軽く観るしかない。

0 件のコメント:

コメントを投稿