「タイムループの呪い」という邦題が信じ難いほどダサいのだが、観てみると本当に「呪い」というような設定なのだった。
ループが完全な復元ならば、誰もそれを覚えていないのだから、そもそもループしていると言うこと自体が無意味になる。ループ、と言った瞬間に、それを外部から観察する、記憶をとどめておく者の存在が必要なのだ。
それが「ハルヒ」の「エンドレス・エイト」における長門であり、「ひぐらしのなく頃に」の梨花であり、「リセット」における浅井ケイだ。そして、全てのループ物における観客だ。
ところが珍しいタイプの作品もあって、記憶以外にも、何か物理的な変化が伴っていて、それが記憶とともに蓄積されていくことがある。
本作では劇中の殺人によって生じた死体が、ループの中で消えずに蓄積していく。
これは『トライアングル』ではないか!
『トライアングル』同様、本作でもこれがどういう仕組みなのかがわからない。何せ「呪い」だ。合理的な説明はないのだ。ただ、ループ物の悲劇を映像として見せることで観客に与える衝撃を目的としていた『トライアングル』に比べ、本作ではこの設定による物語的な面白みをあれこれと追究している。それはホラーと言うよりコメディだ。この感触は『ハッピー・デス・デイ』だ。
そう、ホラーはルールが肝心だ。設定はどうであれ、一旦その設定をしたあとで、そのルールの中でどれほど遊べるかが勝負だ。
その点、本作は低予算の制約の中で誠実な工夫を凝らしていた。
良品。
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