2020年3月21日土曜日

『君に読む物語』-感動的でもあり気持ち悪くもあり

 ライアン・ゴズリングは『ラ・ラ・ランド』からしか知らないから、出てくるなり若くてびっくりする。しかも気持ちが悪い。後半で髭を生やしてようやく安心した。
 『グロリア』のジーナ・ローランズだ! と思ったら、この監督、『グロリア』のジョン・カサベテスの息子なのだそうだ。ってことはジーナ・ローランズの息子でもある。

 確かに最後は感動した。認知症の老婦人が、夫の語る、若き日の自分たちの物語を聞きながら、最後に自分や相手のことを思い出すことも、その直後に再びわからなくなる切なさも、感動的ではある。
 だが全体としてはベタな「映画的感動シーン」にちょっとヒいてしまう部分が多かった。相手の気を引くために観覧車の鉄骨にぶらさがったり、交差点の真ん中に寝転んでみて、車が来て慌てて避けるスリルに「ああ、面白かった!」と言ったりする若い男の奇矯な振る舞いが、「映画的」な特別感を演出するのは、若いライアン・ゴズリングが気持ち悪いのと相俟って気持ち悪い。
 ラストの、老夫婦が手をつなぎ合ってベッドに寝たまま死ぬラストシーンも、感動しつつも微かに気持ちが悪いとも思ってしまったのだった。

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