2020年8月11日火曜日

『MEG ザ・モンスター』-アンバランスの失敗と成功

 歴代サメ映画の興行収入№1だという。期待される面白さの方向は決まっているから、見やすい。観始めるときの億劫さがない。
 で、観終わっての満足度もそれほど高くはない。だが期待とのズレは大きくないから許せる。

 これでもかと、敵の強大さを描くことは必ずしも物語を面白くさせない。
 これが『トレマーズ』ほど面白くないのは、バランスを欠いているからだろう。というより『トレマーズ』の面白さが、バランスの中で形成されているということか。つまり、工夫によって対抗できるような危機の描き方が巧みだったのだ。
 だから、モンスターを強大にすることは必ずしも面白さにつながらない。
 脅威に対して暢気すぎるではないかというあれこれの行動にも不審を覚えるし、最後が肉弾戦なのも、それが敢えてなのはわかりつつも納得できない。
 海が怖いと感じるということなら、小規模映画の『海底47m』の方がよほど怖かった。

 一方で、この映画の最大の成功は、海水浴客の足下をMEGが通り抜けていくのを上空からとらえたショットだった。ここだけは、そのあまりの非日常性を生み出すために、あまりに大きなサメという設定の成功しているシーンだった。
 それでも、あんな水深のところを、大勢の海水浴客が泳ぐなんてことはありえない、という突っ込みはしたくなってしまうが。

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