2020年8月28日金曜日

『マーガレット・サッチャー』-再び

 家人が観るのにあわせて、通しで観直してしまった。ここ1年のうちに観た映画の一本。
 やはり、どこをとっても実にうまい。そこに描かれる感情の機微がいちいち的確で豊かだから物語の筋を追うだけでなく、場面場面を観ることの喜びがある。
 そして物語全体は、得ることの喜びと失うことの悲しみが対照的に、強い振幅で描かれるのだった。老境を描く物語なのだから失うことの悲しみはもちろんなのだが、これが、最後の最後でその悲しみを最大に描いたところでおだやかな現状肯定で終わるという、実に見事な着地を見せる。
 あらためて素晴らしい一編だった。

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