2019年1月14日月曜日

『ディストピア パンドラの少女』-こういうゾンビ映画を観たい

 『28日後』『ワールド・ウォーZ』あたりと同じ、そういう病気の感染者ということなので、死者が蘇るいわゆるゾンビではないが、ビジュアルも行動原理も「噛まれたらうつる」ルールもすっかりゾンビなので一括して「ゾンビ物」ということにしておく。かつ「走るゾンビ」でもある。
 そこに、感染者でもあり、人間の意識も保ったままの新種としての子供たちという設定は『アイ・アム・ア・ヒーロー』ではないか。感染者たちが群体を作って種をばらまくという設定まで。
 イギリスの新人監督の劇場デビュー作だというのだが、このただ者じゃなさは、さすが『SHERLOCK』の中の一編を録っているというだけある。演出も緊密で絵作りもうまい。
 ゾンビの侵入が知らされ、窓の外の遠くに見える人影がこちらに向かって走ってくると、そのまま窓ガラスにぶつかる、などという演出は実に気が利いている。あの人影はそうかなあ、と思っていると、みるみるそうなる。期待通りであってほしいと思いつつ、怖い。
 昼間は休止状態になっているゾンビの群れの間を、音を立てずに通り抜ける緊迫感なども大いに楽しい。
 全体として『28日後』ほどではないものの、感触としてはよく似た、楽しいゾンビ映画だった。

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