2014年10月21日火曜日

「議会占拠24日間の記録」「台湾アイデンティティー」

 中間考査も明日で終わって、明後日からはまた授業が始まってしまう。授業自体は楽しみで、いくらでも時間がほしいのだが、この猶予に追いつこうと思っていた授業記録は結局書けないまま、授業の方が先へ進めばまた書きたいネタは生まれ出るんだろうし。もどかしい。
 歯医者の予約を入れていたんで早くに帰って、治療が済んで家に戻ると、修学旅行の事前学習用の企画を考える。台湾の学習に「台湾アイデンティティー」(監督:酒井充子)と、NHKの「Japanデビュー」と、同じくNHK・BSのドキュメンタリー「議会占拠24日間の記録」のどれをどの順で見せるか検討。「Japanデビュー」はこの週末にようやく見終わって、日本と台湾の関係を考える上では是非見せたいと思いつつ、1時限で見せることの可能な長さにどう編集するか、容易な作業ではないと保留。今日は「台湾アイデンティティー」を、これもまたようやく見終えて、しごく好意的な印象をもったのだが、編集に関する時間の見当に二の足を踏んで、とりあえず明後日向けに「議会占拠24日間の記録」で行こうと決めた。
 録画した5月に観て以来、二度目だが、やはりものすごく面白いドキュメンタリーだ。時間的にも小規模なカットでいける。テーマは台湾と中国の関係やら現在の台湾の情勢についての学習だが、何より、台湾の人々が実に素朴な「民主主義」を現実に生きていることを見せたいと思った。そこここで、学生が、市井の人たちが政治について車座になって熱く議論を交わす。こういう素朴さは今の日本では実現することが難しい。どうしたって頭でっかちの観念的「民主主義」擁護になってしまう気がする。
 だが私の感ずる「面白さ」は、そうした理念より、学生による立法院(議会)立て籠もりを、具体的に体験するように想像できたことによる。行政府への要求をどこまで貫けたら撤退するかといったリーダーの決断や駆け引き、立て籠もりにあたってのチームの役割分担など、その顛末はまるで映画のような「面白さ」だった。とりわけ、撤退を宣言してから二日間でバリケート封鎖を解いて議会場を掃除して外へ出るという学生たちの振る舞いには拍手喝采だ。それぞれが日常生活に戻っても、この24日間の経験を生かしていこうとする「成長物語」まで、どこまでも良くできた映画のようだった。
 だが「台湾アイデンティティー」も諦めてはいない。「議会占拠24日間の記録」が、ある事件の顛末を追った「映画」のようなドキュメンタリーだとすると、「台湾アイデンティティー」はさまざまな人生の断片が、さまざまな思いの強度によって語られることに引き込まれる、ドラマのようなドキュメンタリーだ。結局感動的なところは台湾という特殊な状況によるものというより、普遍的な夫婦愛や親子愛だったりもして、台湾の学習になるか? というためらいもないではないが。

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