2020年5月4日月曜日

『蜘蛛の巣を払う女』-最高評価

 『ミレニアム』シリーズのスウェーデン版を観たのはもう10年近く前になる。デビッド・フィンチャー版の『ドラゴン・タトゥーの女』でも、もう5年以上前だろうな。
 良い印象しかないこのシリーズだが、原作者も変わり、監督も上記のどれでもない。とはいえ『ドント・ブリーズ』の監督だそうだ。やはり期待してしまう。

 さて、結局どうだったかというと、大いに満喫したのだった。いやはや面白かった。
 序盤のバイクでの逃走劇で、海へ飛び出るシーンから、もう拍手喝采である。
 何を求めるかという問題ではあろうから、俳優によって異なるリスベットの人物像のどれが好きだとかいうこともあるのかもしれないが、今回のクレア・フォイももちろん素晴らしい。傷を負っていながら正義感を失わない人物の陰影も十分だが、それよりなにより、今回の映画全体がおそろしく展開がスピーディーで、そのほとんどがリスベットの行動によって展開していくのである。
 次から次へと危機が訪れ、そのあまりに絶望的な状況に対して、常に的確な判断によって対処していく。そのとんでもない超人振りは「ボーン」シリーズのジェイソン・ボーン並みだ。
 そう、全体としてカー・チェイスからコンピューター・ハック、銃撃戦から肉弾戦まで、映画全体が『ボーン』シリーズと遜色ないと思った。つまりこういうジャンルの映画としては最高級だといっていい。
 第一作のようなおどろおどろしいミステリー風の味わいはないものの、これはこれで十分ではないか。

 ところで、『Trance』『ジュリアン』と3作続けて、DVが重要な要素として物語に絡んできて、『ジュリアン』から2作続けて、危機を逃れるためにバスタブに横たわる場面があるのは奇妙な偶然だった。まあDVはそれだけ世界的に深刻な問題ということでもあろうが。

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