2020年5月10日日曜日

『トレイン・ミッション』-ちょっと残念

 ジャウム・コレット=セラの『フライト・ゲーム』よりは近作。『アンノウン』『フライト・ゲーム』に続いてリーアム・ニーソン主演だが、間にもう一本『ラン・オールナイト』があるんだな。題名からしてそれも似たような映画であることがアリアリ。
 さて本作。『エスター』からみればずいぶん金をかけられるようになったものだ。飛行機から電車になった分、『フライト・ゲーム』よりもキャストの数も膨大だし、最後には列車を脱線させるのだ。
 最初から同ポジを使いまくった凝った編集で、映像的にも見せる。そこら中が「怪しい」と思わせるような、微妙なカット挿入もうまい。
 サスペンスもアクションもたっぷりの娯楽作だったが、例えば『蜘蛛の巣を払う女』あたりの圧倒的な展開に比べると、やや小粒感も否めない。
 小粒感が悪いとは言わない。はっきりとB級映画だった『パニック・フライト』はあまりに緊密な構成で高い満足感を与えてくれたものだ。
 本作は『フライト・ゲーム』に比べても、誰が犯人(グループ)なのかについてのサスペンスが薄く、意外性のある犯人一味は、重要な列車内でのサスペンスに関係がないのが残念。最初から犯人一味のヴェラ・ファーミガはそのまま犯人でしかないし。
 脱線してからの籠城戦が展開としては起伏のあるバリエーションを作ろうということだとはわかるが、実は蛇足だと感じられてしまった。列車内でのサスペンスに限定しても良かったのに。
 楽しい映画だとは言えるが、隙の無い高いレベルで統一されているとは言えず、ちょっと残念。

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